幼少期に受けた影響って消えないの?

11/25(土)と11/26(日)に『現場からの医療改革推進協議会 第18回シンポジウム』というものに参加して参りまして、話題は多岐に渡るのですが、今回はその中からメンタルヘルスに関する話題を一つだけご紹介いたします。

話題提供者は元厚生労働大臣の塩崎恭久さんで、その後いろいろ意見交換もさせていただきました。今年は撮らなかったのでこの写真は去年のものですが、まるで旧知の友の様な雰囲気で一緒に撮ってくださいました。

塩崎元厚労大臣と私

さて、本題ですがある研究によると、子どもの愛着形成はせいぜい2歳まで(木下勝之 前日本産婦人科医会会長 2023年)や5歳くらいまで(友田明美 『子どもの脳を傷つける親たち』より)がタイムリミットと言われている。ここで言う愛着形成とは信頼できる特定の大人が子どもに関わることである。

それもあり虐待から子どもを守ろうと、塩崎さんは法律まで変えて国や厚労省に働きかけたが、結果現場はほとんど何も変わらなかった。そこで現在動かれているのが施設だけではなく里親制度・特別養子縁組の充実などである。

ただここで私が気になったのが、ではそのタイムリミットである臨界期を超えた子供たちは取り返しがつかないのか?という事である。もうあきらめるしかないのだろうか?

日本には幼児期の愛着形成がその後に及ぼす影響に関するコホート研究調査時点で、仮説として考えられる要因を持つ集団(曝露群)と持たない集団(非曝露群)を追跡し、両群の疾病の罹患率または死亡率を比較する方法である。 また、どのような要因を持つ者が、どのような疾病に罹患しやすいかを究明し、かつ因果関係の推定を行うことを目的としている)が無いそうなので、海外からのデータですが、やはり小児期の虐待の様な逆境体験は、発達に応じた適切な養育を受けられない事で身体も心も育たず、生涯にわたり精神疾患のリスクや学習能力への影響、慢性身体疾患のリスクを高める事がわかっている。

しかし、これでは幼少期に逆境体験をした人は治らない後遺症のように希望がないのだろうか。私は臨床で幼少期の逆境体験をもつ患者さんに多く関わってきたことやPTSDやアダルトチルドレン等の治療に関しての論文を執筆している経験から、以下の様に考えます。

私の臨床経験からの印象として、もちろん幼少期の影響が大きいことは否めないですが、大人になってからの治療によって症状が変化したり本人が楽になったり、新たな能力を身につけ人生を変えることは出来ると実感している。ただ、やはり治療に取り掛かるのは早ければ早い方が効果が出やすい印象はあります。

ちなみにこの治療、本来は精神科医や児童精神科医の領分かもしれないのだが、日本ではこのような治療を行う医師は極端に少なく、したがって我々が医師との協力のもと心理療法を行っていく必要があると思われます。

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